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やまはカンタービレ

大学職員として、英文文書の作成や「ヒト」のパフォーマンスを最大化する仕組みづくりを推進しながら、復業としてブログでの発信や英文法講座などを行っています。アインシュタイン・アプローチを実践しています。人の生き方や個性、心理、性質などに強い関心があり、ブログで学んだことや気づいたことを発信しています。趣味はピアノとDDR(日本191位)です!!

ピアノの音色を良くするには

 ごきげんようYAMAHAです。

 

 今日はピアノの音色を良くするための1つの視点を書きたいと思います。音が割れてしまったり、イマイチ弦を響かせられなかったりする人の処方箋になれば幸いです。

 

 私は音楽教室でピアノを習っていますが、ある時レッスンで「音が割れている。耳障りな音だ。」と、1レッスンまるまる音の質を1音1音確認していくという苦痛この上ない作業をやったことがあります。今だから言えますが、苦しすぎて音をよくしろと言われて簡単に改善できたら苦労しねーよ! と投げやりな気持ちになってしまっていました。

 

 でも1冊の本からヒントを得たことで、音色が急によくなり、レッスンで音質についてうるさく言われることもなくなりました。その秘訣は、一言でいうなら「鍵盤の深さを意識する」ということです。

 

 そもそも、なぜ割れるような音を出すように至ったかについて触れておきます。ピアノを始めてすぐの頃には、運指の練習として定評のある「ハノンピアノ教本」を何度も反復していました。その際に先生から、後で弱くする分には難しくないからフォルテッシモくらい強く弾いておくと効果が出やすいと言われていたため、しっかり音を出そうという意識を持って練習していました。

 

 ところが、音を強く出そうとしすぎた結果、手を振り上げて鍵盤に向かって振り下ろしてしまうようになっていました。さらには、鍵盤の深さに見合わないほど深く深くまで到達しそうなほど指をたたきつけていました。そのため、ハンマーは弦をこれでもかというくらい力を込めてたたいていたのです。

 

 とにかくもっと優しくて心地よい音を出せるようになりたい一心で本屋さんに行ってみると、ピアノ表現の細かな「コツ」がたくさん載っている本に出会いました。国立音楽大学を卒業した後にピアノ指導者として活躍なさっている、中嶋恵美子さんの「知っておきたい!ピアノ表現27のコツ」という本でした。非常に明快かつ噛み砕いた説明で感覚的にピンと来たため、即買いしました。

 

 この本は、「求めているピアノ表現を実現するためにはどのような意識を持てばいいのか」をわかりやすく説明した本です。粗っぽく聞き苦しい音を改善するためのヒントは、「②余韻をコントロールする」という箇所に載っていました。以下は、本文より抜粋です。

 

みなさんは、鍵盤の深さを測ったことがありますか? 私の生徒さんがお父さんと連弾をした時のことです。お父さんはピアノ初心者だったので、親子で合わせる前に個人レッスンをすることになりました。ところが、お父さんの腕はガチンゴチン! 鍵盤をガンッと勢いよく押し下げるため、ものすごい音がします。そこで、

「お父さんは鍵盤に20センチもの深さがあるように弾いているけれど、鍵盤の深さって思いのほか浅いんですよ。鍵盤の深さがどれくらいあるのかを測ってみましょう。」

と、目の前で鍵盤の深さを測って見せることにしました。その後、右下のイラストのように定規に指を当てて、鍵盤の深さの分だけ指を動かしてもらったのですが、お父さんのタッチはその場でよくなり、以降「ガンッ」と耳をつんざくような音はしなくなりました。

            ――― 中嶋 恵美子「知っておきたい!ピアノ表現27のコツ」(音楽之友社)より

 

 もうまさに目からうろこでした。それまでの自分は、弱く弾こうという意識だけは持っていたんですけど、根本的な解決策が全く見えず途方にくれていました。しかし、この本をヒントに「鍵盤の深さ」を意識するようになったところ、音質が一気によくなり、気持ちよく演奏できるようになりました。

 

 以前は動画で自分の演奏を見返すと音がすごく割れていて、「携帯でとるとこんなものか」なんてカメラの性能のせいにしたりしていましたが、最近の演奏と聞き比べてみるともう全く別の演奏です。今なら先生が口を酸っぱくしていた理由もわかります(笑)

 

 私たちピアノ演奏者は、鍵盤の"たった10ミリの間隔"だけでピアノの音色や強弱、余韻などをコントロールしないといけないんですね。鍵盤の深さをきちんと踏まえて、今自分はどんな風に鍵盤をたたいているのか意識してみるだけで全然音色が変わります。

 

 自分がイメージしているような音が出せず苦しんでいる方は、是非「たった10ミリの鍵盤で音色をコントロールする」ということをイメージしてみると、世界が変わるかもしれません。