ごきげんよう。久しぶりにコンサートを鑑賞して充電できたYAMAHAです。
みなさんは、モーツァルトの「2台のピアノのためのソナタ」をご存知でしょうか。国民的マンガ&アニメ「のだめカンタービレ」で、のだめと千秋先輩がデュエットしたあの曲です。
HD: Mozart's SONATA for TWO PIANOS - Anderson & Roe
今日はコンサートで2台ピアノや連弾の演奏を堪能してきました。その中で、初めて生で聞いた「2台のピアノのためのソナタ」にまつわる裏話について、ご紹介したいと思います。
【 目次 】
弟子と演奏するために作曲された
モーツァルトは作曲家として活動するだけでなく、ピアノを教える先生でもありました。ピアノを教えていた弟子たちの中でも、高い実力を持っていたとされるのが、ヨーゼファ・アウエルンハンマーです。
アウエルンハンマーは、資産家の娘です。アウエルンハンマーは、モーツァルトを師として慕っていただけではなく、モーツァルトに激しく恋していました。
モーツァルトは、その気持ちを受け入れることはありませんでした。しかしながら、アウエルンハンマーの実力は買っていたため、彼女と演奏するための難易度の高い曲を作曲したのです。
連弾ではなかった理由
モーツァルトが活躍していた時代は、まだ2台ピアノの曲はメジャーではありませんでした。2人で弾くときは、連弾で演奏されることが多かったようです。
ところが、 モーツァルトは、アウエルンハンマーとのデュエットで2台のピアノ曲を完成させるに至りました。なぜ連弾にしなかったのでしょうか?? みなさんなら、どんな動機があれば連弾にして、どんな動機があれば2台のピアノにしますか??
その秘密は、アウエルンハンマーの"容姿"にありました。モーツァルトにとって、アウエルンハンマーは醜くてたまらなかったのです。モーツァルトが残した手紙でも、彼はアウエルンハンマーの容姿をひどくけなしています。
そう、モーツァルトはアウエルンハンマーと並んで演奏したくなかったのですね。だから並んで1台のピアノを弾く連弾ではなく、2台のピアノのための曲を作曲するに至ったのです。
考えてみれば当然かもしれません。全くタイプじゃない、むしろ醜いとさえ思う自分に好意を寄せている異性なんて、連弾したいとは思わないでしょう。逆に、めちゃめちゃタイプの好意を寄せる女性であったら、連弾をして少しでも近くで一緒に音を奏でたいと思うかもしれません。
そんなわけで、連弾が主流であった時代でありながらも、今でも弾き継がれる名曲「2台のピアノのためのソナタ」が誕生したのでありました。
曲の構成や難易度
曲の構成は、以下のようになっています。
英語名 Sonata for 2 Pianos in D major, K.
●第1楽章 Allegro con spirito
●第2楽章 Andante
●第3楽章 Molto allegro
軽快なスピードと歯切れの良いメロディの第1楽章の後には、いかにもモーツァルトっぽいさわやか&晴れやかで、歩くようなテンポの第2楽章があり、最後にアップテンポで強めの第3楽章で締めくくられます。
気になる曲の難易度ですが、「全音ピアノピース」では、AからFまであるうちの「D」とされています。(A→Fと難しくなっていきます。)
同じモーツァルトのキラキラ星変奏曲が「D」とされています。集中力のいる大変難しい曲ですよね。同じくモーツァルトのトルコ行進曲でも「B」に位置づけられているので、そのむずかしさがわかるでしょう。
また、「2台のピアノのためのソナタ」は、アップテンポな曲を2人で息を合わせて弾くという、いわゆるアンサンブル的要素があります。そのため、ただ単純に弾くことのむずかしさだけでなく、他のピアニストの演奏と音を調和させて弾くことのむずかしさを考慮する必要があります。非常に難易度の高い曲であるということができるでしょう。