【本日の問い】
「自由」とは何か
昨日、劇団四季のミュージカル「アラジン」を見てきました。アラビアを舞台にした「自由」を求めるキャラクターたちの人間ドラマです。
主人公のアラジンは盗人です。彼の求める自由は、王宮(のような場所)でお金に不自由なく暮らすことです。一方で、ヒロインのジャスミンは王宮に住む王女様です。彼女は身分やお金に恵まれているにもかかわらず、自分の生活が不自由だと感じています。そんな彼女の求める自由は、ルールやしきたりに縛られずに広い世界を見ることです。
このように、ある人にとっての自由は、ある人にとっては不自由である可能性があります。そもそも、「自由」とはいったい何なのでしょうか??
本記事では、わかるようで意外とわからない、この「自由」という言葉の意味について、理解を深めていきたいと思います。
【 目次 】
「自由」をアラジンの事例で考える
あなたは「どうなったら自由ですか?」と質問されたら、どのような答えが浮かびますか??私の例で言えば、お金にしばられずに好きなところに行く、他の人に気をつかわずに仕事ができる、そんな場面が思い浮かびます。恐らく、想像する人によって浮かんでくるイメージが異なるはずです。
アラジンの3人の登場人物を例に、もう少し具体的に考えてみましょう。
①アラジン
主人公のアラジンは、身分やお金に恵まれない青年です。アラジンは毎日食うにも困っていたので、他人から食料などを奪うことで、何とか生活していました。いわゆる盗人です。いつも食料などを求めて、街の中を駆けずり回っていました。
そんな彼にとっての自由とは、「お金に不自由することなく、人のものを奪う必要のない生活」です。彼は、街から眺めることのできる王宮での裕福なくらしを夢みていました。
②ジャスミン
ヒロインのジャスミンは、王宮に住む王女様です。ジャスミンは王族なので、金銭的には何不自由ない裕福なくらしをしていました。ところが、彼女は自由に街の中を見て回ることができません。自由に恋愛することもできず、しきたりによって好きでもない人との結婚を強いられてさえいます。法や伝統によってがんじがらめにされているのです。
そんな彼女にとっての自由とは、「他人の決めたルールに縛られず、自分で決めて行動できる生活」です。彼女は、自由に街の中を歩いて回ったり、広い世界を見て回ったりすることに憧れを抱いていました。
③ジーニー
ジーニーは、ご主人様の願いごとをかなえる魔人です。ジーニーは魔法を駆使して、ご主人様をお金持ちにしたり、強大なパワーを持つ存在に変身させたり、様々な願い事を実現することができます。ところが、彼は人の願いを実現することができても、自分のやりたいことを自分の意思で行うことができません。また、ランプの魔人であるため、基本的にはせまいランプの中に閉じこめられています。
そんなジーニーにとっての自由とは、「自分の意志でに移動し、他人だけではなく自分の楽しみも追求できる生活」です。他人の願いをかなえるだけではなく、自分のために生きてみたい、そして、ランプに縛られずに自分の足で自由に動けるようになりたいと願っていました。
「自由」は人それぞれ
アラジンの3人のキャラクターを見比べてわかることは、自由といっても人それぞれ思い浮かべる内容が異なるということです。
例えば、アラジンは「お金に不自由することなく、人のものを奪う必要のない生活」を思い浮かべていました。これは、ジャスミンの描く「他人の決めたルールに縛られず、自分で決めて行動できる生活」とは正反対のものです。
ジャスミンは、アラジンが理想とするお金や身分に恵まれた状況ですが、それには自由を感じていません。一方でアラジンは、ジャスミンがうらやむ規則やしきたりに縛られない生活を送っていますが、お金がある生活のほうが自由だと感じています。
つまり、ある人にとっての自由が、ある人にとって自由であるとは限らないのです。それぞれが置かれた状況によって、思い描く自由の内容は異なります。共通して言えることは、人はその時おかれている状況に足りないものを「自由」だと感じる、ということです。
ここまでで、人は自分にないものを自由と感じることや、人によって自由のとらえ方は千差万別であることがわかりました。ところが、まだ自由の具体的な意味については説明できていません。したがって、次の章では、自由とは具体的にどのような意味を持つのかについて考察していきます。
「自」と「由」の漢字の意味
自由という言葉を試しにGoogleで調べてみると、トップには以上のような説明が出てきます。
他からの束縛を受けず、自分の思うままにふるまえること。
まぁ、せやなって感じです。このように規則や制限などの縛りがないこと、が自由の一般的な説明です。でも、これでは自由の意味が人それぞれで違うことの説明にはなりません。もう少し掘り下げて、漢字の意味という切り口から考えてみましょう。
「由」だけなら、"近づきたいもの"、"心を引き寄せられるもの"、"関係のあること"という意味にとどまります。ところが、そこに「自」という漢字が加わることで、"他(人)"とは区別された"自(分)"が手に入れたいものという意味になっています。
これなら、自由の内容が人それぞれ違うことも納得できます。他でもない、"自分が引き寄せられるもの"。それぞれの漢字の由来を調べれば、このような意味が込められていることがわかります。
自由を制限するものの存在
自由について考える上では、もう1つ考慮すべき点があります。それは、自由には、それを制限したり束縛したりするものが存在するということです。
自由の意味調べると、「制限のない」「束縛を受けない」といった表現がたくさん出てきます。つまり、ある人が思い描く自由までの道のりには、何らかの束縛が存在していて、それを乗り越えたり取り除いたりしてやらないといけないということです。
先ほどのアラジンの例で言えば、「お金がないこと」が制限の1つです。ジャスミンにとっては、「法や王家のしきたり」が自由を制限しています。
私の例で言えば、自由とは「将来への不安が数ない生活」です。とにかく、安定した生活を手に入れることが重要だと叩き込まれて育ってきました。ところが、右肩上がりの経済成長を前提とした時代が終わり、「安定」の考え方が変わってきています。この件に関しては、先日印象に残ったツイートがあったので紹介しておきます。
金は心の余裕なのだが、
— KUMAP@メディア事業社長 (@kumapadsense) 2018年10月9日
その一歩前に、実力が心の余裕なのよね。
お金がなくても腕に自信があれば
割と楽観的になれるし、
そこに裏付け的な実績がついてくると尚更。
むしろ、ただお金を集めるよりも、実力をつけていくほうが効率も良い気もするな
以前であれば、大企業に勤めたり公務員になったりすることが、安定の物差しでした。言い換えると、安定は組織に保証してもらうものでした。ところが、組織の右肩上がりの成長も止まってしまった今では、安定の物差しは組織ではなく「個人の能力」へとシフトしてきています。
そのため、私のような「将来に対する不安が少ない」自由を求めている人にとっては、お金を稼ぐことだけでなく、自分の能力を高めることが不可欠になってきています。つまり、私の自由を制限しているものは、「能力」や「実績」なのです。
あなたの自由を縛るものは何ですか
ここまでの例でお伝えしたいことは、自由に近づくためには、自分を制限するものが何かを、正しく把握して取り除いてあげる必要があるということです。
私の例で言うと、最近2度目の転職をして良い組織に少しずつステップアップしているはずなのに、不安は全く解消されません。まだまだ安定しているとは決して言えない状況です。正直なところ、私の自由を制限するものに、正しく向き合えていませんでした。
そして、自由について考えてみて、結局仕事でもプライベートでもたくさん挑戦して、能力を高めて結果を出していくしかないという結論に至りました。「能力や実績の不足」という制限を取り除いてあげるのが私にとっての課題です。
長くなりましたが、ここまで見てきたように、人にはそれぞれ固有の自由があります。そして、その自由を手に入れるためには、自由を制限しているものがなんであるのかを正しく把握することが不可欠です。だから、最後に問いかけたいと思います。
- あなたにとって「自由」とはどのような状態ですか?
- あなたが自由を手に入れるために取り除く必要のある「制限」は何ですか?
ぜひ、自分の理想の状態(=自由)と、そこに至るまでの障害(=制限・束縛)を正しく把握して、あなただけのアラビアンナイトをつくり上げていきましょう♪
最後に…
ミュージカル「アラジン」、やはり最高でした。月並みかもしれませんが、3次元で見る"Magic Carpet Ride"は心の底からゾクゾクします。挿入歌「A Whole New World」は、人類の宝です。ご興味ある方はぜひご覧になってみてください。