ごきげんよう。YAMAHAです。
昨日はみなとみらいホールで行われた「THE PIANIST!」というコンサートにいってきました。あのスーパー日本人ピアニスト・辻井伸行さんが出演するコンサートということで、胸を躍らせながらの参加でした。
参加してみての感想は、とにかく「楽しい」コンサートでした。音色がよかったとか、音楽の素晴らしさが感想として聞こえてくるコンサートは多々ありますが、「楽しかった」と形容されるクラシック・コンサートって意外となかなかないのではないでしょうか。今日は、そんなコンサートのお話です。
実は今朝、以前記事で紹介した脳の中身をひたすら言葉として排出する「モーニング・ページ」を1万字ほどやってきたんですが、そこで書いた内容がそのまま使えそうだったので、誤字脱字などブログ用にちょっと編集して、改行を入れて書き殴ったままの内容でお送りします。口調もいつもと全然違いますがあしからず笑。
桜木町に降り立ってみて
昨日は辻井伸行さんやファジル・サイ氏の出演する「THE PIANIST」を見に行ってきた。会場はみなとみらいホールだった。乗り換えが面倒だったので桜木町で降りた。桜木町もみなとみらいも高層ビルが立ち並び、きちっと区画整理されていて、洗練された印象を受けた。でも、悪い感じはしなかった。
動く歩道で割と長い距離歩くことができたのはすごいと思った。デパートも、なんだかきっちり四角い空間の中にいて、今までに味わったことのないような感覚だった。なんだかヨーロッパの建物の中にいるような印象かもしれない。行ったことないけど。
終わった後も桜木町駅に向かったけど、意外とゴミゴミしすぎているわけでもなく、落ち着いた雰囲気でよかった。さすが、横浜はまだまだ勢いがあると感じた。川崎や横浜で自分を仕事にして生きていければ、この先もまだまだパイはあるだろう。
☆インターナショナルピアニスト、ファジル・サイ氏の演奏
コンサートの内容であるが、まずはファイジル・サイ氏。何が違うって、聞いてる方は次々と頭の中のイメージが切り替わるんだよ。あ、今はこんな印象。あ、今はこんな空間にいるな、てな感じで。
音楽教室の先生には、(ザナルカンドにての練習中に)ラミミレドやシファファレシで曲調が変わるんだからちゃんと弾きわけなさいと言われた。それを極限まで極めたらあんな感じになるんだろうという印象だった。
果たしてあんな風に自分が弾けるようになるのだろうか。どうやったら、どう考えたらあんな風に曲調の変化を弾き分けることができるんだろうか。知りたいけど、それは自分で試行錯誤しながら見つけ出していくものだと思うから、きちんと意識して見つけ出していきたい。ちょうど1週間後が発表会だからそれまでに意識すべきことのひとつと言えるかもしれない。
そのあと、ファジル・サイ氏は「パガニーニの主題による狂詩曲」のメロディで始まる曲を弾き始めた。もうあれはラフマニノフのパガニーニというよりも、彼の「パガニーニ風」と呼ぶべきものであった。
多分メロディも違っているんだろうけど、全然伝わってくるイメージが違うんだよね。なんかもうね、すごく楽しそうなの。そんでもってすごいのが、コンクールとかで課題になるくらい難しい曲のはずなのに、まるで子どもが遊んでいるように簡単に弾いちゃうんだよね。あれ、パガニーニって簡単だったっけ?みたいな。もうね、達人すぎて意味わかんなかった。どんだけ弾いたら自分もあんな極地に至れるのかわからないし、さすがに無理だと思う。
あ、あとはピアノの弦を押さえて、バイオリンのような弦楽器のように演奏していた部分があって印象的だった。音の印象が全然違うから、新鮮だった。そうだよね、弦だって体だって、なんだって楽器になり得るよね。本当に自分の求める作品を作ろうと思ったら、ステレオタイプなんてつき破っちゃったんだろうね。
日本が誇る至高のピアニスト、辻井伸行さん登場
続いては、辻井伸行さん。あまりに有名なのでもはや説明の必要もないだろう。自作曲を中心にいろいろ演奏してくれた。以前も感じたことだけど、やはり音が耳に心地よすぎる。彼の音は素晴らしすぎて、空間を支配している。他の聴衆がモノに見えてしまうくらいの力を持っている。心地よすぎて気を貼ってないと眠くなってしまうのが副作用だけど笑。
そして、自作曲の「トスカーナの朝?」みたいな感じの曲がものすごくよかった。窓を開けたら素晴らしい風が入ってきて、小鳥たちの鳴き声が心地よかったみたいにおっしゃっていたけど、自分そんなの感じたことないですから!!笑 自分とは感じている世界が違うんだなーって感じた。感性って大事。
まずは、感じる力。トスカーナで窓を開けて風や鳥の鳴き声を感じても、普通の人は何も感じない。それを、あれだけのイメージとして感じることのできる感受性の素晴らしさよ。
あとは、アウトプット。人間って工場みたいなもので、イメージでもものでも何かを投入すると何かしらが生まれてくる。でも、彼はトスカーナの朝の風景が入ってきただけで、頭の中にイメージを感じるだけでなくそれを聴衆を感動させる曲として外に出すことができる。
アウトプットっていうのは、それまでに自分の中に築き上げていった回路からつくりあげられるから、相当素晴らしい回路をつくりあげてきたんだろう。家庭用トースターと、巨大なパン製造機との違いくらいある。
しかも、その音楽が本当に心地いいの。本当に清々しい朝が訪れて、これから1日が始まるんだ、自分の手で素晴らしい一日にしてやるぞ、みたいな、そんな場面がありありと心の中に浮かんできた。あんな風に感じたことを音として表現できるように、将来的には楽典だけでなく和声などいろいろ勉強して、作曲の技法を身につけたいと思った。いや、それは常々思っていることだ。
あと、最後に辻井さんはチョピン(ショパンのことです笑)の革命を演奏してくれた。あんな難しい曲を、さらに高速で弾いていた。普通に演奏されるスピードの、1.4倍くらいのスピードはあったんじゃなかろうか。それを、また子どもの遊びのように難なく弾いてしまうんだから本当にこの人たちは恐ろしいよ。どんだけ弾き込んだらあそこまで到達できるのか、想像もできないな。
そして、最後はレ・フレール。レ・フレールはフランス語で兄弟という意味らしい。兄弟2人で4本の腕を使って演奏するという。
使うピアノも、一般的な88鍵よりも数の多い、97鍵だという。
そして、出てきて演奏が始まる。腕を4本使っているだから、単純に4つの旋律が奏でられているはずなのだが、それらがひとつとして互いを邪魔することなく、調和していた。美しかった。
メロディも素晴らしく、退屈な部分がほとんどなかったのがよかったと思う。綺麗事を抜きにすれば、クラシックの大作は素晴らしいメロディに圧倒される箇所もあれば、少し冗長で退屈だと感じる部分があるのも事実である。曲が長くないからというのもあるかもしれないが、そういった退屈な部分がなく、心地よいキャッチーなメロディを、知らない曲であるにもかかわらず純粋に楽しむことができた。
続いては、弟さんのソロ。これは、ブギウギをテーマに作曲されたものであり、ブギウギの様々なメロディが詰め込んであるとのことだった。
実際に始まってみると、ブギウギの曲調の素晴らしさにひきこまれっぱなしだった。こんなに聞いていて楽しいジャンルだったとは。それとも、この方が飽きのこない素晴らしいブギウギ曲を作り出しているのかもしれないが。
FF6の、居酒屋?かなんかの曲に似ていたように思う。おそらくあの曲がブギウギ調で作られているのだろう。
続いては、お兄さんのソロ演奏。お兄さんは、福祉施設などでの演奏を通じて、施設にいる方々の生活を応援する活動を行っているとのこと。
実際に演奏された曲は「花」という言葉が入っている、やさしい曲調。お兄さんの人柄がにじみ出ているのだろう、心にじんわりと染み渡ってくるような穏やかながらも強い意志を持ったメロディ。これも、わかりやすい旋律で飽きがこなくて、最後まで堪能することができた。
うれしかったのは、この次はミではじまりそうだとか、曲を少し先読みできるようになってきていることである。ソルフェージュをしている効果でもあるだろうし、ソルフェージュの先生からそういう視点を与えてもらっているからでもあろう。
次はこんな感じかなと予想しながら聞くことは、予想通りいったらうれしいし、予想通りじゃなかったらこういう持って生き方もあるのか勉強になるから効果的だと思った。気持ちに余裕があるときにはこれからも取り入れていきたいと思った。
そして、また連弾に戻った。「挑戦」みたいなタイトルの曲を弾いてくれた。落ち込むこと、苦しいこともあるけれどもこれから向かっていくぞっていう思い、そんな情景が伝わってくる素晴らしい演奏だった。
相変わらずお互いの音を全く妨げないんだから、驚くばかりである。知らない曲ばかりだったけど、メロディが親しみやすく心地いいものばかりだったから、終始堪能することができた。
うれしい「ピアノ・トリオ」のおまけまで
そして、最後はなんとレ・フレール兄弟が辻井伸行さんを連れて3人で登場した。もうこの時点で盛り上がりが頂点に。沸き立つ観客。
そんな中始まる辻井伸行さんのソロ演奏。そしてしれっと低音部に参加する弟さん、さりげなく高音部に入り込むお兄さん。なんと、1台のピアノで3人で連弾を始めたのである。
最高潮に盛り上がる観客、すばらしいメロディ。そしてフィニッシュ。今日一番の盛大な拍手。出演者と観客が一体となって、「楽しい」気持ちが溢れ出る雰囲気をつくり出していた。
みんな、興奮しながらも体の力が抜けて、心の底から目の前の音楽とスタイルを楽しんでいた。普通なら、コンサートが終わった後には「すごい良かった」「音が素晴らしかった」と話す人が多いが、今日はみなさん口々に「楽しかった」と言っていた。
正直あのレベルになると音や演奏が素晴らしいのは当たり前くらいの感じだが、今日の演奏はそれに加えて心からの「楽しさ」をプレゼントしてくれた。
その立役者であるレ・フレールの今後の活躍には、目が離せない。こういう演奏会だったらまた行きたいと心から思った。
他に参加した方がご覧になってくださることがあれば、どんな風に感じたのか共有していただけるとうれしいです。